転重軽受の法門
日蓮大聖人の正法を信ずるのは、私たちが功徳・善根を積むためです。末法唯一の正法である南無妙法蓮華経の御本尊を信じ、自行化他にわたって素直に正直に妙法を実践していけば、誰でもかならず、苦悩の生命を幸福へと向けて回転向上させ、精神的・物質的な安穏と幸福境界を得ていくことができます。
一方、いざ信心を実践していくと、人によってそれぞれ時期と内容には違いがありますが、信心が強ければ強いほど御本尊の功徳を感じ信心する悦びを実感できる反面、それまで感じたことのない苦悩に悩まされる場合もあります。それが病気であったり、時には死魔の働きであることもあり、夫婦・親子・兄弟・親戚・朋友、あるいは勤務等においての人間関係の不調や金銭面・生活面の問題等が起こってくることもあるのです。
「煩悩(ぼんのう)障」という障害は、自分自身の内心に具わる煩悩が表面的に現われてきて、むしろ前向きに生きようとする信仰生活を阻害(そがい)したりします。「業障」(ごうしょう)は妻子・眷属(けんぞく)等の身近な人にさまざまな出来事が発生し、それがきっかけとなって私たち自身の仏道修行に支障を来すような働きです。「報障(ほうしょう)」は上司や親類との人間関係等によって、やはり私たちの信心活動に不調が発生するような働き働きをいいます。この三つが「三障四魔」のうちの「三障」です。
すると、なかには、
「正しい仏法を信ずれば幸せになれると言われたのに、どうしていろいろな障害や難が起こるのか理解できない」
という疑問を持つ人が出てくるのも致し方ありません。
そこで、このことを理解するためには、まず第一に、人間はそれぞれ皆、持って生まれたものがマチマチであり、誰もが同一の出発点からスタートしている訳ではない、ということを考える必要があります。
また、たとえば世上において、借金ある人がいるとします。その人の手持ちの金銭がまだ少ない時には、債権者は少しづつ長く、かつ利息といって債権額を増やしながら取り立てを迫っていくものです。しかし借金した人に、強力な金銭面の援護者が現われると、早く返して欲しい債権者は、借金の大部分の返済を一気に、急激に迫ってくるようになるものです。
このように、過去の罪障が、長く深く、三世にわたって次第に現われるべきところ、今世において法華経の南無妙法蓮華経を受持・信仰する大功徳によって、重い罪障(ざいしょう)が転じて軽いものとなり、なおかつ、その軽くなった罪障を、一気に出し切って消滅させていくことができるのです。これをたとえるならば、体内に出来た膿(うみ)を、少しづつ少しづつ直していても、いつまでたってもジクジクするだけで、なかなか直りが遅いということがあります。そんな時、場合によっては、一時は痛い思いをしても、疾患部分を思い切って切開し、一気に膿(うみ)出し切って、すっきり治していく必要があります。
本来、私たちは今世で、正しい信仰をしていかなければ、過去世から背負ってきた罪障(ざいしょう)と、今世において、さらに積み重ねた悪業の果報(かほう)を、ぜんぶひっくるめて、来世まで持っていかなければなりません。それを、今世において、南無妙法蓮華経の信心により、軽く一気に背負ってきた罪を消滅させていくのです。罪障という「膿」を一気に出し切って、悪いものを無くしていくことができるのであり、それが今世における日蓮大聖人の信仰を実践して、罪障を消滅していくということなのです。
初めて、南無妙法蓮華経の正法を受持したことが縁となり、様々な苦悩が現われてくることもありますが、それはみずからの過去の謗法(ほうぼう)の業因(ごういん)によるものであって、けっして御本尊が間違っているわけでも、修行方法が間違っているわけでも、まして信心を教えてくれた(折伏してくれた)人が悪いわけでもありません。
むしろ現在、正しい仏道修行を行なう功徳によって、思い罪業の果報(かほう)を軽く受けて、罪障(ざいしょう)のすべてを消滅するチャンスに巡り会ったと認識すべきなのです。
日蓮大聖人は御書に
「法華経を信ずる人は冬のごとし。冬は必ず春となる」(御書832)
との有名なお言葉を残されています。「難苦得楽」「現世安穏後生善処」が基本であり、仏道修行の原則です。成仏の大目標に到達するまでには、さまざまな波はあろうとも、かならず南無妙法蓮華経の信心によって真実の幸福を獲得することを確信し、今はいかなる諸難にも耐え抜いて、勤行・唱題の貫徹と、勇気を基とした折伏実践に精進していきましょう。
※上記文章は『日蓮正宗要義』掲載の「転重軽受」項の文章につき、表記をかえるなど筆者が一部訂正したものです。
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